役員だけであれば税理士さんとの契約だけでよい?
まず、役員だけの法人であっても会社として健康保険、厚生年金へ加入しなければなりません。
そして、健康保険、厚生年金の手続きを代行する資格免許を持つのは社会保険労務士だけです。
税理士さんにお願いしてはいけません。
社会保険労務士法、税理士法により、社会保険労務士と税理士が代理できる業務がそれぞれ限定されているからです。
税理士が報酬を貰って社会保険の手続きを代行した場合、その税理士さんが法律違反となりますので税理士さんにお願いをしても断られてしまうでしょう。
なお、法人税や事業税など会社が国に納める税金の手続きは税理士にしか外注することはできません。
法律により、資格ごとに受託できる業務が決めれられているのです。
ポイント1:役員だけの会社でも社会保険の手続きが必要
ポイント2:社会保険の手続きは社会保険労務士にしか外注できない
役員以外の従業員を雇ったときに社会保険労務士と契約すればよい?
役員だけの場合、前述の会社としての社会保険への加入手続きの他、社会保険料の計算、年金事務所への定期報告を行う必要があります。
これらの社会保険手続きを社会保険労務士へ委託しない場合は、自社で対応するしかありません。
ただし、従業員を雇った場合は対応しなければならない法的手続きの数と難易度が大幅に増えます。
代表的なものは労働保険への加入手続きや、労働保険料の計算、ハローワークや労働基準監督署への書類提出です。
これらの書類提出は、年に1回の書類もあれば、従業員が入社・退社する度に一人ずつ提出しなければならない書類もあります。
いずれも社会保険労務士の資格が無ければ代行できない手続きです。
また、雇用契約書の作成、残業代の計算、有給休暇の管理、労働基準監督署への36協定の届出、就業規則の作成など会社として対応しなければいけない事は役員だけの時と比べて格段に多くなります。
これらの業務について、社会保険保険労務士以外に相談しても問題ないのでしょうか?
税理士さんでも労働基準法に詳しい人はいますので個人差はありますが、労働基準法についての国家試験を受けているわけではありません。
労働基準法は社会保険労務士試験の必修科目
雇用契約書の作成や、残業代の計算を正しく対応するために必要となる労働基準法の知識は、社会保険労務士になるための国家試験で必修科目として出題されます。
必修科目で一定以上の得点ができないと社会保険労務士になることはできません。
一方、税理士になるための国家試験には労働基準法の試験がありません。
税理士試験では、法人税、消費税、相続税などの税金や簿記・会計に関する科目を受験します。
それでは、弁護士の試験はどうでしょうか?
弁護士になるための国家試験に「労働法」という科目があります。
ただし、選択科目のひとつであるため、弁護士が必ずしも「労働法」の試験に合格しているとは限りません。
弁護士さんの中には、商法(会社と会社の取引に関する法律など)や、刑法(事件を起こした時の罰則など)など、様々な法律の中から自分で選択をした法律について受験をして弁護士になります。
よって、労働法と関係のない科目で合格し、その領域を専門とされている弁護士の方も多くいます。
労働基準法の専門は社会保険労務士といわれるの理由は、このような試験制度が背景にあるといわれています。
なお、パート・アルバイトなどの臨時従業員を含め、労働基準法や労働保険は全ての従業員に適用されます。
法人設立時に社会保険労務士と契約をしていないのであれば、遅くとも役員以外の従業員を初めて雇い入れたタイミングで、労働基準法や労働保険法の専門家である社会保険労務士に相談をしましょう。
ポイント3:従業員を雇うには労働基準法の知識が必要
ポイント4:社会保険労務士は労働基準法の専門国家資格
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